ドラフトと年月が戦略を生み出すカードゲーム「ヴォーパルス」レビューと感想

カードゲーム「ヴォーパルス」はドラフトによってカードを交換しながら自分の領土を整備し軍備を整え派遣を競う同時進行型戦略ゲームとなっています。

ルール概要

ラウンドごとに使用するカードが配られます。プレイヤーは手札から今回使用したいカードを選択するわけですが、この時、カードを一枚選択したらそれを確保して残りを隣の人へと渡します。

同様に他方から手札が流れてきますので、そこからまた一枚カードを選択、というように手札がどんどん巡っていきます。

こうすることにより自分が使いたい札、他の人にめぐってほしくない札を睨みながらカードを選定します。これをドラフトと言います。

カードドラフトが終わったら、それを自分の領土の軍備として場に出します。この処理も全員同時に行います。カードにはそれぞれの効果、戦力、コストといったものが設定されていますので、お金を払い配置します。

これが終わったら戦争フェイズにて戦力を比較して点数を獲得、生産フェイズで建物を建設し、経年フェイズで年月が流れユニットが破棄されラウンドが終了します。

三ラウンドが経過したのち、最も勝利点を獲得したプレイヤーが勝者となります。

ゲーム感想

カードドラフト、同時進行により高速でゲームが展開しながらがっつりと戦略要素を味わえるゲームとなっています。

ベースとあるのはTCGライクなテキストによるカード効果の応酬なわけですが、それを動かすメカニクスはドイツゲーム的拡大再生産と数字比べ。これはたまらない人は多いのではないでしょうか。

基本的にやることはシンプルなんですが、カードドラフト、戦争、建設、経年劣化と要素とフェイズは結構盛りだくさん。攻略しがいのある作品に仕上がっていると思います。

お金の運用、ユニットの整備、建築の要素ががっちりと組み上がっていてドラフトが悩ましくてたまりません。そしてそこが抜群に面白いわけで。

もちろんダウンタイムもなし。全員が全員、したいことをやった後でそれを解決します。わかりやすいですね。

既存タイトルを挙げると「世界の七不思議」と比較されると思いますが、あちらはカードの種類を分けてその組み合わせで戦略性を生み出しているのに対し、こちらはカードテキストによって戦略性を生み出しています。パッと遊ぶとプレイ感は似ているのですが、きちんと別のゲームとして、違った楽しさを生み出せていると思います。

なによりフレーバーが良いんですよね。ラウンドが経過することによって時間が経過し、軍備が疲弊していく。ダークな絵柄とそのどこか物悲しげつつも当然の摂理がルールと綺麗に合致しているわけです。

戦略ゲーム好き、TCGライクなテキスト能力に惹かれるという方には強くおすすめできる作品でしょう。ドラフト、同時進行による凝縮されたゲームプレイに惹かれる方にも楽しめます。

ゲーマーズゲームに寄っていますがそのフレーバーが気になった人でもカジュアルに遊べちゃえる懐の広さがあります。面白いですよ、おすすめです。