ボードを埋め尽くす敵に立ち向かう協力ボードゲーム「アルスラーン戦記 盤上演義」レビューと感想

ボードゲーム「アルスラーン戦記 盤上演義」は、アニメにもなっている同作を再現した協力ゲームとなっています。

キャラクターコマをアニメイラストそのままに頑丈なプラ駒に、敵は盾を持ったフィギュアになっており雰囲気抜群です。

本作には4枚のボード、4つのステージが収録されており、各話でちょっとした特殊ルールが追加されます。ステージ毎に採用されるキャラクターや各種カードも変更され、ゲームプレイに変化がつくようになっているのが嬉しいですね。

手番する事も簡単で、移動したり敵兵を排除したりカードを引いたりといった所。その前後でイベントによるアクシデントや敵兵の追加がされ、ボード上は賑やかになっていきます。

プレイできるカードは自分の手番以外でも使える物が用意されていたりして、仲間の窮地を救ったりすると中々盛り上がります。

カードはアニメのワンシーンが切り抜かれており、タイトルも相まってアルスラーンファンには堪らない作品に仕上がってると思いました。

さて、ボードゲーム的に評価すると、本作は小さくまとめたパンデミックもしくはフラッシュポイントといった感じのゲームです。手番毎に発生するイベント、追加される敵兵はパンデミックを思い出させます。カードプレイは手番以外でも出来るものがあるため難易度は低めといった感じでしょうか。ボードゲーマーが遊ぶとちょっと物足りなさを感じると思います。

とはいえ本作のメインターゲットはアルスラーン戦記ファンである、大多数のボードゲーム未経験者であると感じます。

まずルールブックのルール説明が一ページで収まっているのがすごいです。全体のルールがシンプルにまとまっていて枝葉も無く、各キャラクターに能力を持たせステージ毎に制限する事で変化を出しています。ゲームの準備もかなり楽で、ルールブックを読み上げながらでも負担を感じないでしょう。

アニメイラストそのままにプラ駒にしたのも良い感じ。敵兵の無個性さとの対比がぐっときます。イベントカードによる様々なアクシデントはもちろん、どんどん敵兵が追加されていくのも単純に盛り上がれるルールとなっていると思います。

一回あたり30分というのもゲーム初心者には嬉しいですね。これ以上時間が無いと、集中力が途切れるのですよね。

惜しいのは、カードデザイン的に縦方向ではなく横方向にカードを見ないといけない点でしょうか。アニメイラストを大きく見せたいのはわかりますが、やはり手札くらいは縦方向で見たかった。文字ももう少し大きめが嬉しかった。

また、対象年齢15歳から、とありますが難易度とゲームの難しさ的には8歳とか10歳とかからでも遊べるように思えます。おそらく扱っている題材や年齢層からこの設定だとは思いますが・・・。出来ればカードテキストもそういった低年齢層が遊んでも大丈夫なようにシンプルな文面にしているとさらに良かったと思います。

それ以外では特に欠点らしい欠点も見当たりません。デザイナーの設計とターゲット通りにできあがった、まとまっているゲームだと感じました。

総じて、キャラクター物として文句ないゲームになっていると思います。こういうカジュアルなゲームがどんどん増えていくと良いですね。

アルスラーン戦記好き、ボードゲームが初めての人、子供へのプレゼントに最適なゲームなのではないでしょうか。