TCGライクデッキ構築カードゲーム「ハートオブクラウン」レビューと感想、そしてドミニオンとの比較
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※:日本語ルールが付属していない場合があります。必ず確認してください。
名前 | ハートオブクラウン (Heart of Crown) |
デザイナー | |
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おすすめ度 | ★★★★☆ | ルール難易度 | ★★★☆☆ |
運要素 | ★★★☆☆ | 知略・思考要素 | ★★★☆☆ |
プレイ時間 | 30分 | 年齢 | 12歳~ |
プレイ人数 | 2~4人 | BGGスコア | 7.7/10 (437票) |
BGG重量 | 2.4/5 |
「ハートオブクラウン」ってどういうゲーム?
「ハートオブクラウン」の紹介
カードゲーム「ハートオブクラウン」は、カードをプレイしながら新たなカードを購入し、ゲーム中に自身のデッキがどんどん強くなる楽しがたまらないゲームになっています。
ルール概要
プレイヤーたちはまったく同じ内容のカードデッキセットを1つずつ受け取ります。10枚あり、これが最初のデッキとなります。
このゲームでは、プレイヤーはゲーム中にカードを購入していくことで自身のデッキを強化し、他プレイヤーとの差が生まれ、より強いデッキを作り、勝利点を最初に20点獲得したプレイヤーが戴冠式を迎え、続くプレイヤーがいなければそのプレイヤーが勝利します。
手番ではカードをプレイします。領地がお金を生み出し、従者は勝利点を生み出します。しかし、最初に持っている領地は貧弱であり、従者はドジばかりでマイナス点となります。もちろん、姫様なる存在もおりますまい。
というわけで、最初は領地を拡大していく必要があります。手札から領地カードをプレイすることで、このターンだけで消費できるお金が発生します。このお金を使って、市場から様々なカードを購入します。
市場のカードはランダムで出てきますので、どのタイミングでどのカードを取っていくのか、というのもとても重要になってきます。
テキスト効果のあるものもありますし、領地も、従者も、もちろん、お姫様を擁立して帝国での地位を確かなものにする下準備もできます。
購入を終えれば、購入したカードと、このターン消費したカード、手札に残ったカードは捨て札として送られます。そのプレイヤーのターンは終了し、山札からカード5枚になるようにドローします。
一周まわり、次のターンでも同じことをします。そうすると、山札が空になり、ドローできません。ここで、捨て札をすべて拾い、シャッフルして新たな山札となります。
これで、次のターンから今までに購入したカードが手札にくるようになります。領地や従者、引き入れた様々な効果カードが土地に定着して、成果を上げ始めたのです。
これを繰り返して、プレイヤーは他プレイヤーとは違うプレイスタイルの領土となって、どの姫を継承者とするための派閥争いが加速していくのです。
姫をお金を集めて擁立できたら、この姫様はデッキには入りません。別の場所に領土とともにセットして、従者を引き連れ始めます。山札にのこった従者たちは勝利点としてカウントされず、この姫にセットしていく必要があります。
従者をセットするとカード購入ができず、カード購入をすると従者のセットはできない・・・。悩ましい選択肢が続く中で、ゲームは加速し、決着します。
最初に20勝利点を獲得したプレイヤーが勝利します。他に20勝利点以上を獲得したプレイヤーがいた場合、30勝利点までゲームが伸び、サドンデスに突入します。
ゲーム感想
イラストがとてもカワイイのとうらはらに、テキスト効果もりもりの快感指数高いカードゲームになっています。なによりフレーバーとルールの合致感がきもちいいですね。
どんどん領地が増えていって肥えていき、姫様がついて従者を引き連れ、様々な人材があつまり、帝国での影響力が高まっていく。
その流れがゲームルールのカードをめちゃくちゃプレイしまくる快感と相まってたまらないです。
効果カードはリンクしていくことで連続してどんどんプレイできますし、扱うお金もどんどん増えていく。姫たちも様々な効果を持ったのがいて、誰を姫とするのか、でも差別化ができていく。
そしてゲーム中盤以降にある購入か従者をつけるかの二択。これがもう悩ましい!!
従者をつけないと勝利点にはならないし、カードを購入しないと強力にならない。けど以前購入した従者はとくに効果もお金も生み出すわけではないから邪魔になる!! ああああ〜〜〜!!!
強化と点数化、このバランスをどの程度で保っていくのか! ランダムで出てくる市場カードをカウンティングしていつ購入に走るのか!! このジレンマ、たまらないっすね。
TCG系ゲームが好きなら間違いなく楽しめると思います。逆に、カードコンボとか、テキストとかにちょっと戸惑う方は楽しめないかもしれません。そういう尖ったゲームも、また味わいがあって、私は好きです。面白いです。おすすめ!!
ドミニオンとの違い
さて、これまでのお話はドミニオンを抜きにした話です。こういったデッキ構築系のゲームをレビューする上で、ドミニオンとの比較は避けられない話でしょう。
まず結論から言えば、うまく差別化して、違うゲームにできている、という事です。
ドミニオンフォロアーは、ドミニオンの基本メカニクスであるデッキ構築に様々な要素をつけたし、結果的にテンポが悪くなってしまう、という事が往々にしてあります。本作は、この問題を点数化か購入を選択するジレンマ、カードコンボによる快感値の高さでうまく解消できているのかなと思いました。
また、これは賛否両論だと思いますが、市場にディスプレイされるカードのランダムについてです。ドミニオンはすべてのカードが最初から購入できます。これによりそれぞれのプレイヤーが自身の求める最適解デッキを考えて競います。本作はそうではなく、ランダムです。カードを把握しておきながら臨機応変に対応していきながら、戦略と、そして運によりゲームを有利に運びます。
どちらが良いのかは、正直好みです。
ドミニオンは最初からすべてのカードが購入できるため、完全な最適解が求められた場合、全員がそれに向かい、先手番、または手札運の強いプレイヤーが勝つ。極論すればですけれども。
本作は購入できるカードがランダムなので、最適解が常に変化する。今持っているデッキ内容を思い浮かべながら、今と、そして将来にシナジーのあるカードを購入していく。これもまた運ではありますが、運の範囲が違うのかなと思います。
競技として考えれば、ドミニオンのほうが競技らしい。ゲームとして考えれば、この運の範囲にこそ、好みが現れるのかなと思いました。
また、ドミニオンと本作は、ゲームが確立されるうえでの文脈が違うとも感じました。
ドミニオンにはドイツゲームの匂いを感じます。ワーカープレイスメントのような、選択肢が最初から見えていて、誰が先に取るのか、どう取るのか、という最適解をそれぞれが把握した上で、それをどう達成していくのかの競い合い。相手が先手なら、こちらはそれのカウンターとなる方に手を伸ばす。戦略がかぶったらその分他に出遅れる。カードによるコンボも強力ですが、単純に強いカードにより、山札を最小限に抑える戦略もまた、強い。
本作はTCGの匂いを感じます。ランダムで現れる市場はパックを買うのに似ていなくもないです。現れるカードプールからどう自分のデッキを構築していくのか。山札からひたすらカードを引きながら、カードコンボを繰り返しつつ、山札から従者をできるだけセットでたくさん引き出していく術を探る。
結論としては、どっちも違って、どっちも楽しい! ということ。面白いです。やっぱりおすすめ。
※:日本語ルールが付属していない場合があります。必ず確認してください。
名前 | ハートオブクラウン (Heart of Crown) |
デザイナー | |
---|---|---|---|
おすすめ度 | ★★★★☆ | ルール難易度 | ★★★☆☆ |
運要素 | ★★★☆☆ | 知略・思考要素 | ★★★☆☆ |
プレイ時間 | 30分 | 年齢 | 12歳~ |
プレイ人数 | 2~4人 | BGGスコア | 7.7/10 (437票) |
BGG重量 | 2.4/5 |
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「ドミニオン」: ★★★★★
デザイン:ドナルド・ヴァッカリーノ
どんなゲーム:カード、シンプルなルール、拡大再生産、デッキ構築、ファミリーゲーム、ゲーマーズゲーム
プレイヤー:2~4人・13歳~
2009年ドイツ年間ゲーム大賞:大賞
「勇者アーキテクト2B・2R」: ★★★★★
デザイン:翠丸
& コップレジェンド
どんなゲーム:カード、ボード、ファンタジー、RPG、デッキ構築、ゲーマーズゲーム、豪華なコンポーネント、同人
プレイヤー:2~4人・15歳~
ゲームマーケット:2017年・春
「モンバサ」: ★★★★☆
デザイン:アレクサンダー・フィスター
どんなゲーム:カード、ボード、陣取り、ネットワーク、拡大再生産、ワーカープレイスメント、デッキ構築、ゲーマーズゲーム
プレイヤー:2~4人・12歳~
「知略悪略」: ★★★★☆