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はじめに
本記事は「ニッポン:明治維新」を遊んだ後でつらつらと考えている事を覚え書き的に記したものです。この時点で私はまだ一回プレイしただけであり、開封後即プレイで全員でルールブックを読み合わせたのでルール解釈、プレイミスがいくらかあったであろうと思われます。
また、口調がかなり断定的なものになるでしょうが、これは「思う」「感じる」が頻発すると読み味がくどくなる事を避けるためであり、あくまで個人的な推測により本記事が書かれている事をご了承くださいませ。他ボードゲームのタイトルを上げてもそのフォローをしない場合もあります。さらに本作は重量ゲームであり、様々な要素が複雑に関係していてプレイヤー同士の絡みが強いため、結局の所「その場に合わせて臨機応変に」が最終的な結論になる事にも留意ください。
本作品のレビューはこちらになります→逆ワーカープレイスメントボードゲーム「ニッポン:明治維新(Nippon)」レビューと感想|Board game every day
他人のアクションをコントロールする
本作、特に序盤では手番行動はミープルの色に制御される。初期の収入は12000円。統合整理を行うときの出費の最低値である3000円ですら痛い。ということは、できるだけミープルの色は統一していきたいというのが全員の共通意思となる。それぞれのアクションには各色のミープルが乗っており、今後補充されるミープルもある程度わかっている。ぱっと見沢山ある色とそうでない色というのは判断がつく。最初に取る色は各自今後多く取れる色である事は勿論想像に難くない。
序盤の一色目は思考停止でとにかく多くて他人と被らない色。それでいい。しかしニ色目はどうか。このゲームではニ色目に何色を設定するかが非常に重要になる。
本作は統合整理までの行動がある程度決まっている。例えばリソースとして相手の手元に石炭が乗っているとする。石炭を消費するのは生産アクションであり、次の統合整理までに相手が生産を行うのはほぼ確定事項となる。リソースを消費しないで統合整理するとその石炭は消えるからだ。勿体ない。
となると、制御したい相手の色をニ色目に設定してプレッシャーをかける事が可能になる。本当は先にしたい事があっても順番が狂い生産を先に行う必要が出てくるかもしれない。となれば相手の計画は破綻する。相手の行動をこちらが制御できるようになる。
本作は統合整理や影響力チップの配置によって臨時的な収入タイミングがある。それを想定し、次の統合整理までに何色までなら保有していいのかどうか、常に考える必要がある。他のプレイヤーの獲得している色を睨みながら、被っている色がある場合は早々に覚悟をしておく必要がある。最悪三色までなら許容範囲だと考える。三色になると出費は9000円ではあるが、統合整理でボーナスを貰えれば5000円貰え、差し引き4000円の出費。初期収入でも8000円で行動できるようになる。それだけあればある程度の行動は確保できる。
初手工場の必要性
初手、特にスタートプレイヤーやそれに近い位置の場合、工場の建設はほぼ確実であると思われる。特に製紙工場は今後を決める非常に重要なパッシブ能力を持っている。それ自体が☆持ちである物は点数を算出するだけでなく、知識トラックの上昇に必要な金額が下がるという能力を持っている。
アクションに必要な金額がさがるというのは本作ではそれだけでありがたい能力となる。初手でそれを獲得できると、知識トラック上昇アクションを行う度に支援を受けられ、ゲーム終了時までにそのアクションに限り使用金額に明確な差が生まれる。その分他のアクションに回せる余裕を生み出す。必要金額が少なくなるという事は、収入が少ない序盤でもアクションを最大限に利用できるという事でもある。
例えば初サイクル(統合整理の間隔)で言えば、工場を建設するのに6000円、割引した知識トラック上昇で4000円。2000円が残る。それを使い他の行動を行う事が出来る。
2000円きっかりで行えるアクションは無いが、依頼達成で獲得できる臨時収入がある。最初に建設した工場は生産量が+1されている。工場で生産して依頼達成を行えば収入があり余裕が出てくる。これも使う。実際半端な金が残っても1000円のアクションもあるのでいくらでもやりようはある。
知識トラック上昇+1の能力のある工場も選択肢としては十分ありだ。☆は無いが、ゲーム終了までの知識上昇アクションの回数は抑えられる。しかし、一度に出ていく金額は大きい。本作では、特に序盤は繰り返すようだが1000円が非常に大きな意味を持つ。割引工場は0円にてアクションが可能になる。統合整理までの手数を伸ばすという行動も場合によっては必要になるので、どの工場が自分にとって必要なのか考える必要がある。
収入は2万は欲しい
本作でまず必要となるリソースは金である。次に石炭。知識は青写真を使えばブーストして工場を獲得出来るし、戦略によっては最終的な持ち工場は4つ程度。最大まであげる必要は必ずしもない。
本作は何をするにもまず金が必要である。線路を引くにも、工場を建てるにも、各種トラックを上昇させるにも、もっと言えば多色のミープルを保有するにも、まずは金。統合整理までに数多く手番をこなすためにも、もちろん金が必要である。金は偉大だ。なんにでもなる。特に中盤まではその差が、ゲームのイニシアチブの差に直結する。イコールであると言っても良い。金を持つという事は、他人より多くの色のミープルを保有しても、統合整理後に保有する金が同じ事かそれ以上であることを意味する。
12000円の収入があってニ色のミープルを保有すれば統合整理後は6000円。収入が15000円あれば三色のミープルを保有すれば6000円。あたりまえの話しである。が、「場合によっては三色を取ってもいい」というのは非常に大きな意味を持つ。
なぜ二万なのか。それは「即収入があり、達成が容易であるものを優先して三つ達成するとそうなるから」だ。統合整理までの間に収入がある事はそれだけでありがたい。共通ボードに影響力チップを置く事でももちろん臨時収入はあるが、それでは収入トラックは上昇しない。鉄道と船を敷設しても一度収入トラック上昇するごとに1万円必要となる上に二回のアクションも必要になる。となると、主な収入確保は目下依頼達成となる。
特に点数ではなく収入があるタイプの依頼達成は条件が簡単だ。工場二つあれば二回から三回の統合整理の間で達成ができるだろう。そうやってある程度の収入が確保できると、アクションの選択肢に幅が出る。カツカツのリソースの中では他人に制御されやすい。ミープルの色に縛られ、アクションの金運用効率問題に縛られる。こういったアクションの先取りが重要なゲームで「どのアクションを選んでも良い」という事の優位性は何よりも勝る。
なぜ金、石炭、知識の順なのか。
先述したけれども、優先するべきリソースはまず金、次に石炭、そして知識である。知識は減らないので正確にはリソースとは違うかもしれないが。
金は単純にほとんどのアクションに必要なリソースである。これも先述した通り、金は(ほぼ)なんにでもなる。そして石炭は特定のアクションにしか使わない。つまり工場での生産である。ただし、工場での生産は点数の獲得に直結する要素である。そして工場を建設するにも金が要る。もっと言えば石炭トラックの上昇にもまた、金がいる。
工場を建設するには知識がいるが、これは青写真を使用すれば問題ない。いきなり最大レベルの工場を獲得しても、それを運用するには多量の石炭が必要となる。段階を踏み工場の建設を進める必要があると考えるとなら、知識は徐々に高めればいい。
本作では点数獲得のための計算が全三回ある。特に一回目は全員が基盤を固めるのにひいひい言ってる段階でもあるので、そこまで影響力チップをマップに置けていない。置けていたとしても、全リソースをそこに費やしているので各種トラックはあまり高くない事が予想できる。それぞれのプレイヤーの手番数自体は同じであり、それをどれだけ、どこに注いでいるのかを把握することは重要だ。
容易にいずれかの地域で二位、三位は確保できるだろう。(一位は間違いなく海外勢力であろう)最初の得点計算はそこまで高くないが重要でもある。重要であるが最重要では無い。そして大切なのは「点数計算のタイミングに影響力チップがあればいい」のである。滑り込みで一つ、まあがんばっても二つ影響力チップを送り込み、確実に点を取る。このタイミングまでにせめて収入リソースは確保しておくのが好ましいと思う。それぞれのプレイヤーが保有する影響力チップは有限である。ここがミソだ。どんなに頑張っても、最初の得点計算までに影響力チップはそこまで置けないようになっている。安心して自己の能力向上に努めるべし。
拡大再生産ゲームで必要なのは「どのリソースが、どれだけのアクションに必要なのか」を把握する事である。何よりも大切なのは、適切な基盤である。収入トラックだけを上げても石炭が足りない。知識トラックだけを上げても、金がないので工場を建てられない。全てはバランスである。自分に必要な現在確保するべきリソース量を確実に把握しながら行動することが大切なのは言うまでも無い。
ちなみに石炭は七個ほど収入としてあると好ましいと考える。なぜなら、それだけあれば二段階目と三段階目の工場を一つずつ稼働できるからだ。そうするとエリアマジョリティ面で一度にある程度のレベルの影響力チップを配置できる。
x5得点倍率チップを優先して確保するべき
本作では、初期状態ならほとんどの要素が点数にならない。が、統合整理時のボーナスによって倍率があたえられ点数化できるようになる。知識トラック、金額トラックはもちろん、線路タイルや工場数等が点数化される要素となっている。これにより自分が今後どのような戦術をとっていくのかが決まる。
そして、この統合整理ボーナスは多くの手番を統合整理を挟まずに行う事により獲得する事が出来る。
統合整理には一手番必要である。最低元の倍率チップを貰うには三手必要である。つまり統合整理も含めると4手で1サイクル・・・。そして最大倍率である×5を獲得するには六手番、統合整理を含めたら七手番。
「2サイクル×2チップ二つ」「一サイクル×5チップ一つ」どちらを選ぶべきか。個人的には迷うこと無く後者だ。
×2チップを置いたとして、知識トラックを最大まで上げても8点。一方×5チップでは20点。12点差がつく。じゃあ全ての要素を×2にして全ての要素で点を取れば×5より点数効率がよくなるか? それは無理だろう。本作では全ての要素を満たして点数を獲得するのはほぼ無理である事はプレイしてみればわかる。頑張って4~5要素と言った所。とするとそれぞれの要素で12点ずつ差がつくと最終的に50点近くの点数差となる。これは大きな差だ。
2サイクルでは確かに収入タイミングは二回あるし、出来る事は多いだろう。エリアマジョリティにも絡める機会も多くなる。結果として盤面上では有利になる・・・だろうか?
例えばトラックを上昇させ、工場を建設し、生産し、依頼達成もしくは影響力チップを置く。これだけで四手使う。統合整理毎に収入があり、「金」と「石炭」という二種類のリソースを獲得する。一緒に二つのリソースを消費するアクションは存在しない。つまり最低二手は「リソースの消費」に当てられる。金が余ればもう一手追加だろう。石炭のリソースを消費すると今度は工場へ「製品」というリソースが補充させる。これもリソースである。
つまり各サイクル最低三手は必要になる。あまりにも余裕が無い。そういった最小手数でどうやって他人と差をつけられるか・・・・難しい所だと思う。何度もプレイして攻略方法が確立できれば別だとは思うが、様々な要素が点数化される倍率チップは後々安定点数行動として重要な意味を持つ。これを獲得できる意味はやはり大きい。
例えば9個ある点数要素の中全てを最大にしても×2なら72点。四個×5なら80点となる。九個の×2チップを獲得するには36手、四個の×5なら28手。手数的にも目当てのチップを指定数確保するには8手も差がある。8手差があればさらに倍率チップを確保される。また、現実的に×2チップは全部で8つなのでそもそも36手で全ての要素にチップ揃えるのは無理だ。点数はさらに開く事が予想できる。そうなるとエリアマジョリティで勝つか? 四人プレイでは全ての地域で勝つ事は難しいように思う。それぞれの要素に手数が割かれるためだ。
試す価値はあるかもしれないが、安定はしないだろう。
×5という倍率は☆一つあたりの点数が、ゲーム最終点数計算時、各地域の一位と二位の点数差と同じ5点という事だ。これは大きな意味を持つ。
鉄道敷設という手番圧縮行動
石炭によって工場で生産し、各地域に配置する。統合整理を含めると、一連の行動は三手必要になる。また、影響力チップは有限であり、さらに残念な事に、本当に極端に少ない。鉄道敷設は大金を代価として、一手番で2~6の影響力をブーストできる。これはとても重要な事だ。
本作では統合整理を中心にゲームが動く。工場で生産するにしろ、影響力チップを置くにしろ、大抵統合整理を境にして行われる。つまり、一種類のアクションは統合整理につき一回であると考えられる。そんな中で、鉄道の敷設は金を使って統合整理をぶっ飛ばしてエリアマジョリティに影響を及ぼせる行動だ。
言うまでも無いが、点数計算のタイミングはコントロールする事が出来る。逆に言えばコントロールされる。自分の意図していないタイミングで点数計算がこようとしているとき、鉄道の敷設という選択肢は、今回したかった行動をさし置いても全力を注いで行うべき可能性がある事を常に意識しておくべきだ。
ああ、金はかくも偉大な存在なのか。
六手番圧縮という力業が本作には存在する
工場にはさまざまな能力がある。その中でも最大レベルの電球工場には「生産量アップグレード+1チップ二つ」即獲得というとんでもない物がある。これがむちゃくちゃ強い。特に終盤にすさまじい威力を発揮する。
いきなり二つの工場が生産量がアップされるということは、本来であれば工場を建設、アップグレードという二つの行動を一つに出来るという事だ。金は統合整理ごとにしかやってこない。そしてアップグレードは高い。合わせて16000円が一気に吹っ飛ぶ。勿論大抵の場合金が足りない。足りないとどうするか。統合整理が挟まれる。
これはつまり「場合によっては統合整理を挟んで行うはずの行動をたった一手で行える」事を意味する。そして二個の製品を出す工場が一気に二つ出来上がりそれが影響力チップに変わる、というのはそれだけで他プレイヤーにとっては脅威となる。そして一万円が浮いたと言う事は、それを鉄道敷設にも回せる。一気に形成逆転である。
「そのサイクル中にどれだけの金額分アクションを行えるのか」一手が重いこのゲームで、手数を圧縮できる。これに勝る優位性は無い。
安定点数行動
エリアマジョリティで競うのがこのゲームの基本ではあるが、だからこそ競争が激しく、点数が高く設定されている。それによって皆が点数を獲得していくわけで、安定して点数をとる事が非常に難しい。特に、一地域にリソースを割り振り船などによって加点をどんどん取っていると、他のプレイヤーから影響力を上書きされ対抗されたりしてしまう。
もっと言えば、エリアマジョリティの点数計算結果は共通ボードに即反映される。つまり、何十点も差がついた状態が目に見える形で表される。本来はそれぞれの個人ボードの能力トラックなどによっても点数を確保しているはずなので、実際には点数は変わらないのかもしれない。けれども、見える形では大差だ。そうなると仮想の一位プレイヤーが出来上がり、その人が攻撃されるのは自然な流れだ。
こうなるとさらに自分の点数を確保するためにそのプレイヤーはエリアマジョリティ面にリソースを割くハメになる。一位であるはずの地域にさらに影響力チップを置かざるを得なくなり、手番を消費する。結果として他の地域にまでは手が回らなくなる。回らなくなったところで終盤ギリギリで影響力の塗り替えが発生する。本作では影響力チップの数は有限である。全ての影響力チップを守る事は不可能である。
というわけで、安定して点数を確保するためには各種個人で確保出来る点数要素が重要になる。各種トラックや工場数などだ。それらを上手く組み合わせ、エリアマジョリティにも絡み、全体から満遍なく点数を確保していく。どの行動が確実に点を取れるか。常に気を配りながら抜け道を探る事が重要だ。
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