おとぎ話の終わった後で、あのキャラクター達が冬と春をかけて抗争するストーリーテリングゲーム「ウィンターテイルズ」レビュー
2016/01/21
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名前 | ウィンターテイルズ:冬物語 (Winter Tales) |
デザイナー | ジョキュラリス
マッテオ・サントス |
---|---|---|---|
おすすめ度 | ★★☆☆☆ | ルール難易度 | ★★★☆☆ |
運要素 | ★★☆☆☆ | 知略・思考要素 | ★☆☆☆☆ |
プレイ時間 | 90分 | 年齢 | 10歳~ |
プレイ人数 | 3~7人 | BGGスコア | 6.45/10 (273票) |
「ウィンターテイルズ:冬物語」ってどういうゲーム?
「ウィンターテイルズ:冬物語」の紹介
舞台は冬陣営による圧政が続くウィンタータウン。プレイヤーはこのまま世界を冬の凍てつく雪で覆い尽くすために危険分子を握りつぶす「冬陣営」と、温かい灯火をまたこの地に灯さんとと抵抗を続ける”春”に忠誠を誓う過激な革命主義者である「春陣営」に分かれます。
お伽話の向こう側、その先の先を覗いているような世界観がこのゲームの魅力。あれやそれやのお話の登場人物たちが、それぞれの思いを胸に一つの街を舞台に争います。
冬陣営には「美貌に執着するあまり冬の魔力に執着する白雪姫」、「腹を切り裂かれ瀕死の所に治療された春を憎むオオカミ」、「冬陣営の考えを拒むものは全て病気であると電気ショックで洗脳しようとするマッドハッター」
春陣営には「この終演とも言える時勢と、英雄願望と革命主義に酔った青年ピノキオ」、「希望を振りまくあまり冬陣営に捕らえられ記憶を消されたアリス」、「冬の寒さに目を覚まし、全てを燃やそうと動き出した亡霊のマッチ売りの少女」他にも色々おります。
これらのキャラクターを使い、物語を皆で紡ぎながらウィンタータウンを未来に導くのがこのゲームの目的。果たして冬陣営と春陣営が衝突した後に何が残るのか、もしくはなにも残らないのか・・・。
ここまでの説明でピン! と来た人は購入するといいでしょう。
ストーリーテリングとしての難易度は低め
基本的に、ゲームは手札にある抽象的な子供の落書きを見て、インスピレーションを元に物語を紡ぐ。カードを出すとそれに関連した物語を紡ぐ感じだ。例えば下記のように。
「(ろうそくみたいな絵を見ながら)えーっと、じゃあアリスが目を覚めるとそこは牢獄でした。牢獄にはロウソクが沢山あり、そこまで暗くはありません」
「(もう一枚カードを出しながら、今度は星みたいなもの)目の端に何かが光るのを感じました。それは牢屋の鍵のようです。『やあアリスお目覚めかい? いつもいつもお寝坊さんだね』と、とても懐かしい声がした気がしました。けれどもアリスにはもうその声が誰なのか思い出せません」
カードの絵がとにかく抽象的で、結構融通が効くのでスムーズに物語を紡げられる。また、元々親しみが強いキャラクター達だし、おとぎ話のキャラクターでもあるので、皆意外とスムーズに物語を紡げる。これがキャットアンドチョコレートとか他のいわゆる「プレゼンテーションゲーム」だと恥ずかしさや発想力のほうが優先されて上手く喋れない人が出てくるけれど、このゲームではあまりそういうことがない。
ルール自体も凄く単純で、移動するのにカードを一枚ずつ出す、戦闘でも相手とのカード勝負。みたいな感じでシンプル。その都度物語を紡ぎ、結果的にウィンタータウンの今後を決める。
シンプルなルールだがルールブックが煩雑
このゲームにはルールブックがついていて、それが結構なページ数ある。それを読むのがまず「うへぇ」と思うだろうが、書かれている事は結構単純で正直ここまでの文字数が必要なのかと首をひねる。特にホビージャパンだとTRPGなども多数だしているだろうし、ここらへんの調整はお手のものだと思うのだけれど。とにかく重複するような記述が多すぎる。何度も同じような処理の記述が出てきて混乱する。
日本語特有の「どっちにも取れる」ような記述もあり、遊ぶ前に頭が痛くなってしまう人も居ると思う。実際に遊んでみると「あーなんだ、こんな単純だったのか」と思うはず。別途サマリーなんかを作った方が良さそうだ。
また、このゲーム特有の世界観、キャラクター説明に少し時間がかかる。一つ一つのキャラクターが魅力的だからこそ、この時間はむしろワクワク感を出すために必要な時間とも言える。
ゲーム性は低い
先程、手札のカードを使って物語を紡ぐといったが、大抵の処理がこのカードを使う以上、手札が多いほうが有利になる。結局後手番有利になりがちだし、ゲーム的な処理として、本当にこれであっているのか?って思うくらいバランスが悪いところがある。
カード自体が物語を作るためのきっかけ作りとしかならない以上、それで強弱を決めようとしても結局は数勝負。ダイスなどを使い、どちらが勝つかわからないランダンマイザが必要だと感じる。物語を作るゲームなのに、ゲームとしてだけ見ると底の浅い詰将棋なので、どうしてもその間で揺れてしまう。
ここらへん、勝ち負けではなくて物語として面白くなるように頑張ろう、といった感じで事前に周知しておく必要がある。
人を選ぶ
というわけでこのゲーム、ものすごく人を選ぶ。そもそもが3人以上推奨な上に、ゲーム性が低く物語を紡がなくてはならない。さらには独特すぎる世界観というのも合わさり遊んだ所で盛り上がるかどうか良くわからない。ここまでストーリーテリング側に振りきれた作品ってのは多分日本にはそんなになくて、上手く遊べない人は本当になにをしたらいいのかわからないって感じになるかも。
それを踏まえてもこの世界観が魅力なら買う価値がこのゲームにはあると私には思う。
個人的にはこれを使ってTRPGとして構成し直そうかなあと考えているところである。
名前 | ウィンターテイルズ:冬物語 (Winter Tales) |
デザイナー | ジョキュラリス
マッテオ・サントス |
---|---|---|---|
おすすめ度 | ★★☆☆☆ | ルール難易度 | ★★★☆☆ |
運要素 | ★★☆☆☆ | 知略・思考要素 | ★☆☆☆☆ |
プレイ時間 | 90分 | 年齢 | 10歳~ |
プレイ人数 | 3~7人 | BGGスコア | 6.45/10 (273票) |
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