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それぞれのプレイヤーが独自ルールで動く新感覚”非対称”ボードゲーム「ヴァスト」レビューと感想とインストヒント

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[3-4月入荷分予約] 「ヴァスト」(Vast: The Crystal Caverns ) 和訳・シール付き | サイコロ堂

ヴァスト
おすすめ度:★★★★★
ルール難易度:★★★☆☆
運要素:★★☆☆☆
思考要素:★★★★☆
プレイ時間:75
年齢:10歳~
プレイ人数:1~5人

ボードゲーム「ヴァスト」は、それぞれのプレイヤーがそれぞれの目的とゲームルールによって行動しながら競い合う、「非対称」のシステムが目新しい対戦ゲームとなっています。

ルール概要

ナイトはドラゴンを倒し、ゴブリンはナイトを倒し、ドラゴンは目覚め洞窟から飛び出し、シーフは宝物を集め不死の呪いを解き、洞窟は拡大して崩壊し内包する生き物を全て殺すことが目的で、それぞれ行動していきます。

本作は全てのプレイヤーが完全に独立したルールでゲームを進めていきます。ナイトはRPGのように装備やステータスヲ上昇させながらドラゴンを倒すために活動し、ゴブリンは仲間を増やし戦略ゲームのようにナイトを追い詰め、ドラゴンは目覚めるためにゴブリンを食べたりナイトの邪魔をしつつ洞窟から出ることを目指していく、というように。

ほぼ完全に別々の動きがありますので、各人把握するルールはもちろん別々になります。これが面白くも有り、複雑でもアリます。その分、他のボードゲームでは楽しめない展開、戦略を試みる事ができます。

ゲーム感想

その複雑さから、それぞれのプレイヤーが把握するべきルールはそこまで多くありません。実際、1枚のペラ紙に収まります。しかし、それが最大五人分ですから、10ページにも及びます。さらに、マップ構成ルールを始めとした共通ルールもありますので、さらに増えます。

と言うと、面くらいますが、実際にやることは相手を倒す、ということです。それに基本的にそれぞれ目的以外の相手を邪魔することは難しいので、実際把握しておくべきルール量はそこまで多くありません。

ただ、かわいい見た目をしつつ、本作はお互いへの相互作用が非常に強力に働いていて、少しでも立ち止まると、相手の手が一気に進みます。例えばゴブリンがナイトの邪魔をやめると、ナイトが一気にレベルアップしてドラゴンを倒してしまいます。ゴブリン→ナイト→ドラゴン→ゴブリンという関係性をどこまで維持しつつ、その維持から抜けだすことができるのか、というゲーム性なんですね。そういう意味で、本作は非常にゲーマーズゲームです。

シーフというキャラは全員から狙われるし、洞窟はゲームメイクに直接関わってきます。

あ、そうそう、本作ではマップを作っていくキャラクターとして「洞窟」がいます。本来だとゲームシステムやそれぞれのプレイヤーガ分散担当するマップ自体をプレイヤーが操作することができるのです。ゲームマスター的な存在ですね。それだけに、少しでもミスすると一気にゲームが進行してしまうという難しさも持っています。

ただ、救済ルールもあって、それぞれのキャラクターの難易度をゲーム開始時に決定することができます。これで経験者と初心者の経験差を埋めることができる設計になっていますので、安心ですね。

他のボードゲームにはない非対称性、独自のゲームルール、濃厚なゲームプレイ、濃い相互作用という部分にびびっときたなら、本作は特別な体験を提供してくれるはずです。ある程度ゲーム慣れしており、対戦相手の行動を読むのに抵抗がない、という方には楽しめる作品だと思います。ドイツゲームというより、アメリカゲームの匂いを感じます。テキストカードもりもりって感じが大丈夫な方も問題なく楽しめると思いますよ!

また、FAQが大量にありますので、手に入れた方はそちらも参照しておくと良いかもしれません。

ゲーム「ヴァスト」FAQ|Board game every day

インストヒント

本作のレビューはちょっと例外として、インストのやり方というか、流れのアドバイスも書いておこうと思います。何回か、遊び、この流れだと私はスムーズだった、という話ですので、それぞれでやりやすい方法を模索しても構いません。

ホストのルール把握

本作は非常に複雑であり、それぞれのキャラクターが相互作用により、強く影響し合います。本作をホストする人は、かならずルールブックを読み通しましょう。特に、最後の方にある例示や、プレイヤー人数によってオススメされる選択キャラクターの組み合わせとルール変更は把握しましょう。特にゴブリンは少し特殊な処理が多いので、きちんと把握しておきましょう。

ルールブックによって非推奨のキャラクター同士でゲームを開始するのは、ゲームに慣れていない場合、おすすめしません。ある程度慣れてからチャレンジするのが良いでしょう。

フレーバー紹介、共通ルールの説明

ゲームを楽しむために、それぞれのキャラクターの目的を軽く説明し、共通ルールの説明を行いましょう。タイル配置ルール、明らかにされたタイルの概念、それぞれから”見えている”位置とそうでない位置の説明、赤ダイスの説明などです。

ゲーム開始、手番順に説明

共通ルールの説明が終わったら、さくっとゲームを開始してしまいます。本作は最初の手番まではそれぞれのキャラクターはゲーム上に登場しません。ナイトが居る場合、ゲームの開始は必ずナイトから始まり、ナイト以外はマップに存在しえません。なので、個別ルールを説明せずにゲームを開始してもなにも問題ありません。

ナイトの手番を開始し、そこで一旦ゲームを停止して、ナイトのルール説明を始めましょう。本作はルールブックの他に、サマリーとしてルールブックと同じ内容でキャラクターごとの紙があります。それをナイトプレイヤーに渡し、一緒に読み進めましょう。以降、それぞれのターンの開始時に、そのキャラクターの説明をしていきましょう。これにより、それぞれのプレイヤーが自分のキャラの把握ができますし、他キャラクターをなんとなく知ることができます。

ナイトは経験値があり、レベルアップしてステータスを充実させ、ドラゴンを倒すことが目的です。遭遇やトレジャーを集めて装備やステータスを強化していくようにアドバイスしましょう。とくに、どの行動によって経験値が得られるのかをしっかりと意識させるようにしましょう。ナイトは素直なゲームルールとプレイ感なので、初めてのプレイヤーやゲーム慣れしていない人にオススメです。

ゴブリンは特殊な事をまず説明しましょう。戦略ゲームのような感覚で、レベルアップはしませんが、装備のようにモンスターを装備していき特殊な行動ができるようになります。種族が3つあり、それぞれ個別に行動でき、実質3体のキャラクターを持てるという事を説明し、種族の個体数が増えないと何もできないことを注意しましょう。また、マップ上に登場させたターンでは基本的になにもできず、無防備な事を必ず説明しましょう。ターンで出来る行動のシークエンスをきちんとホスト側も把握しておくのが大切です。ゴブリンは初めてだと上手く使うことが難しいので、ゲーム慣れしている人か、ホストが担当すると良いでしょう。

ドラゴンは寝ており、まず目覚めることが大切だと説明しましょう。ゴブリンをモグモグし、ボード上のキューブを移動していくことが大切です。それによりドラゴンが目覚め、強くなります。パワーカードにより様々な能力を発揮でき、それをどう効率よく使っていくのかが大切です。ドラゴンジェムは積極的に配置していくようにアドバイスすると良いかもしれません。ドラゴンはナイトより複雑ですが、そこまで難しくありません。こちらも初めてのプレイヤーにおすすめです。

シーフはとにかく弱く、誰からも殺されます。けど不死です。宝箱を集めてマップ上を徘徊しますので、基本的に全員から狙われることをまず説明しましょう。ゲームを効率よく進めるために、どの能力を解放していくのかをよく考えるようにアドバイスするといいでしょう。他のプレイヤーには、シーフを邪魔しても基本的に自分の目標は達成できないことを説明しましょう。シーフはそのタイミングによって殺すメリットが変わります。殺されやすいタイミングで、殺されやすい位置にいないようにしっかりと立ち回るように、とアドバイスすると良いでしょう。シーフは少し難しいですが出来ることが多く、そこまでルール自体も難しくありません。初めてではオススメしませんが、ボードゲームに慣れていれば問題なく楽しめるでしょう。ただし、少人数プレイでは採用しないようにしましょう。

洞窟はゲームマスターに近い存在です。マップの構成を直接担当したり、ナイトへ渡すカードをコントロールしたりします。非常に重要な役どころであり、自分以外のキャラクターのルール把握が大事になります。極端な話、ゲームの楽しさを一番制御するキャラクターとも言えます。勝利するには、とにかくゲームを長引かせ、時間切れを狙う必要があります。そのために様々な能力を効率よく、的確に、効果的な場所に発動していく必要があります。また、育っていないキャラクターを把握し、それを助け、育っているキャラを邪魔して、キャラクター同士のパワーバランスを均衡化させることにより、ゲームを長期化させるのが大切だとアドバイスしましょう。洞窟は難しいですが、他プレイヤーを睨むのが大変なだけで、洞窟自体が難しいわけではありません。やりたい、楽しそう、という人が居たらその人に任せてもいいでしょう。

それぞれのキャラクター、独自の楽しさと難しさがあります。初めての人や、ゲームに不慣れな人がいるなら、その人の難易度を位置段階下げると良いでしょう。また、そのゲームに存在しないキャラクターのインストは省いて構いません。例えば洞窟はどのゲームにも居ますが、担当するプレイヤーが居ないなら洞窟キャラクターの説明をする必要はありません。洞窟担当不在の場合にマップを構成していくルールは別途指示するカードがあります。

また、ゲーム中、ルールについて疑問点が出ることがあります。本作はその非対称というゲームの性質上、どうしてもルールに矛盾が出て、それについてbggを含めてまだ回答がされていない場合があります。それぞれの個別ルールを軽く読んで、解決できない場合は、ホストがその場の判定をするようにすると良いでしょう。または事前に上記のFAQテキストを参照しておくと良いかもしれませんが、ゲーム中に参照するのはあまりにもゲーム進行を止める可能性があるため、オススメしません。ゲームのテンポを考え、その場その場で判断することをおすすめします。

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