ボードゲームのルールライティングにおける、あれやこれや、もしくは小ネタ集 part2
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part 1はこちら→ボードゲームのルールライティングにおける、あれやこれや、もしくは小ネタ集 – Board game every day
1つの文章内での主語出現数を把握する。
これはルールライティングというより日本語作文法の話。
「あなたは、ターン内にて好きなだけカードをプレイすることができます。あなたがプレイするカードは、次のカードをプレイする前に処理を完全に終える必要があります。あなたがカードをプレイしたら、それは捨て札山に配置されます。あなたは〜」
「あなた」言い過ぎじゃないっすかね。日本語は主語を省略できる言語です。省略していい場合は省略しましょう。逆に、主語がまったくないルールも実際にあります。ボードゲームのルールライティングはできるだけ厳密にあるべきできあり、主語は必須です。しかし、多すぎても日本語としてクドくなります。省略できるもの、できないものを選別し、できるだけ明確さを残しつつ、日本語として自然な文章になるように配慮しましょう。
実際にあるものだと、私は最近「パンデミックレガシーシーズン2」にてこれに遭遇しました。ルール文章ではなくフレーバー部分なんですが、「我々」って単語がめっちゃ出てくるんです。おそらく原文ではweが頻出して、それをすべて律儀に我々は、と訳したと思うのですが、読みながらちょっと笑ってしまいました。自分でもやりがちですので、冷や汗が出てしまった件でもあります。
漢字やひらがなの連続に気をつける。
これも日本語作文法の話。
ひらがなや漢字があまりにも連続し続けられると、文章を読み解く負荷が非常に高くなります。5文字以上で漢字やひらがなが連続した場合はそれらの合間に読点をつけたり、漢字やひらがな、カタカナを挟んだりして文章全体の負荷を下げるようにしましょう。
「の」の連続に気をつける
これねえ、めちゃむずいです。言われて気づいたレベルなので、やってしまう可能性大って感じです。どういうことかっていうと、「ラウンドの最初の手番のプレイヤーの出したカードの1枚は〜」って感じ。ボードゲームのルールライティングにおいて、「の」っていうのは恐ろしいくらい出てきます。
ルールライティングは特定単語の組み合わせで成り立つと言っても良いほど、特定の文章携帯を取ります。その中で、それぞれの単語をつなげるために「の」っていうのが非常に相性が良い、というか何も考えないとつけてしまう。
それぞれの単語が何に属しているのか、例えば上記を例にすると、
「カードの1枚」は「プレイヤーが出していて」それは「ラウンドの最初手番」のものだ、っていう3つの要素を組み合わせるために接着剤として「の」が使われているわけです。それぞれの要素のグルーピングとでもいうのか。要素がどの要素に属しているのかを示すために「の」でつなぐ。英語だとofとかinとか。これは必要なことではあるのですが、読みてとしてはあまりにも「ののの」と連続すると読みづらくなる。
これを改善するには、「の」を省略したり、別のものに言い換えたりする必要があります。
例えば「ラウンド最初の手番プレイヤーが出したカード1枚は」っていう具合に。
日本語としての自然さ、を意識しつつ、読みながらテンポ、韻を考えることができると良いかなって個人的には思います。が、これが本当に難しい。ゲーム内の処理フローをあ頭で描きつつ、日本語して出力する、というのは本当に難しい。意識しないとへんてこな文章を量産します。注意しましょう。
彼、彼女、彼らの使用
「ナイトがドラゴンを攻撃した場合、彼女の攻撃力が防御力を超えた場合にドラゴンはダメージを受ける」
彼女が誰を指すのかというと、ナイトを指します。こういった短い文章では混乱が少ないです。長い文章内でこれを行うと読み手が混乱することがあります。ここは素直に「彼女」は「ナイト」に差し替えた方がいいでしょう。
ゲーム内処理を表す単語の統一
例えば特定の場所にコンポーネントを置く所作を「配置」、適当な場所にほっとくのを「置く」と言ったり。何も無い場所を「空スペース」と言ったり、ゲームから完全にものを無くして今後使えなくすることを「破棄」、一時的に使えなくすることを「取り除く」と言ったり。
それぞれの処理を端的に示す単語をライティングのルールとして自分の中で定義しておき、それで統一して置くと、文章の読解がスムーズになります。
これを定義するためには、多くのルールを読み、そして書くしかないので、非常に難しい。私自身もブレてやらかします。
ゲーム内用語とフレーバーテキストを区別する
ゲーム的に意味がある言葉は、私はできるだけカタカナで定義したりします。逆にそうでない場合は感じで定義したりします。
「キャラクターはそれぞれ特殊な能力を持っています。これはキャラクターカードに「アビリティ」として記載されています。アビリティを使用するには」とこんな感じ。「キャラクターはそれぞれ特殊な能力を持っています」という一言は、どちらかというとフレーバーに属しています。これから説明する要素を端的に概要として表しているわけですね。そしてゲーム内用語として定義され、重要な要素とする「アビリティ」の説明を続いて行っています。
これによって、今後「アビリティ」という単語が出てきたら、「キャラクターが持つ特殊な能力」を指すことになるわけです。
これはわかりやすい例ではありますが、例えばキャラクターのステータスに「重量」という要素があった場合、フレーバーテキストで「こいつの重量は〜」といった文章があったりした時に、ルール用語としての「重量」とゲームに影響ないフレーバーの「重量」とで衝突して混乱する事があります。
こういう時、ステータスを「ウェイト」とかって定義しておくと、混乱が少なくて済むわけですね。