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ボードゲームのルールライティングにおける、あれやこれや、もしくは小ネタ集

   

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ボードゲームを制作するうえで、避けて通れぬルールブック制作。私はボードゲームの制作はしませんが、和訳はします。「どうしても原文のルールが読みづらくて1から構成し直す」ということもたまにありますし、ルールブックのデータを作っていく上でバッドノウハウのようなものも溜まっていきます。自戒も含めて1つの記事にはなりきらない、小さな事柄をまとめていこうと思います。

日本語の勉強をする

別記事などでも言及しますが、そもそも日本語でルールブックを書く以上、日本語の勉強は必要です。

「美しい水車小屋の娘」という短い文章があります。さて、水車小屋が美しいと思いますか? 娘が美しいと思いますか? では、「美しい水車小屋と娘」はどちらが美しいと思いますか? それとも両方が? 実は、これは読み手に委ねられます。ルールブックを構成する日本語として、どちらとも取れる文章はあってはなりません。特に、ボードゲームでは「呼称」が非常に重要になります。例えばカードの名称として「美しい水車小屋」「美しい娘」「水車小屋」「娘」があった場合、上の文章例である「美しい水車小屋と娘」という短い文章はプレイヤーを非常に混乱させることになります。

こういった問題は簡単に起きます。特定のモンスターをアップグレードするというルールを持つゲームでは「ゴブリン」「アップグレードされたゴブリン」といった名称で2つを区別する場合があります。日本語についての気をつけることは非常に多く、ここでは書ききれません。常に1つの指針を決めて、都度振り返り、矯正していくことをおすすめします。

本多 勝一

講談社

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あと読んでない人はこれを読め。必読書です。まじでまじで。

数を指定する

「手札からカードをプレイする」書いたことある人ー!! はーい!!

これは何枚のカードをプレイするのでしょう。1枚ですか? 2枚ですか? それとも好きなだけ? 条件次第では2枚出せる、なんてゲームもありますよね。数は基本的に指定するようにしましょう。

「手札からカード1枚をプレイする」「タイル1枚を公開する」「影響を受けたタイル全てを公開する」「対戦相手1人を指定する」「自分を含む、任意のプレイヤー1人を指定する」「手札からカード1枚をプレイする。同じ柄のカードは任意の枚数、一度に複数枚プレイできる」「手札からカードを好きな枚数プレイできる。効果は1度に1つずつ処理し、1枚の処理が完全に終了してから、次のカードを処理する」

数や具体的な対象をきちんと指定するだけで、処理がぐっとわかりやすくなります。

ゲーム全体の流れとルールブックの流れを統一する

ゲームの流れとルールブックの流れは一緒にしましょう。例としてはこうです。

フレーバー、概要、ゲーム全体の流れ、手番行動、ラウンド終了処理、ゲーム終了条件、点数計算、FAQ

そんなのわかってるわい、という方も多いと思いますが、「ゲーム全体の流れ」や「手番行動」の部分にラウンド終了のトリガーを記述しておいて、「ラウンド終了処理」には本当に処理だけ書いてしまっている、というルールブックは実際にあります。もちろん、そもそもゲームの流れとルールブックの流れが違っているものも、もちろんあります。

例えばこうです。手番行動に「手札からカード1枚をプレイします。処理が終わったら次プレイヤーにパスします。全員のカードが残り1枚になったらラウンドが終了するので、手札はきちんと管理しましょう」、ラウンド終了処理に「ラウンドが終了したら~」

デザイナーとしては、ゲームでの行動について、こうしたらこうなるから、気をつけてね、というプレイ指針のつもりで記述しています。これ自体は問題ありません。が、一度ラウンド終了について言及しているので、ラウンド終了処理の具体的な章ではこの部分をまるっと省略してしまっているのです。これは極端な例ですが、割と見受けられます。そしてプレイヤーはどうしたらラウンドが終了するのかわからず、後ろに戻り、一度読んだはずの部分をまた読み直すことになるのです。

ラウンド終了処理の章最初に「以下の条件に当てはまる場合、ラウンドが終了します」といった項目を追加するとよいでしょう。

ゲームの軽さとルールブックの文章量を比例させる

5分で終わるゲームに、10ページのルールブックは必要ありません。それだけですが、大事なことです。

例外はあります。例えば世界の七不思議は30分で終わりますが、インストは40分くらいかかります。それは、このゲームが非常に複雑なメカニクス、戦略性を持っており、それと同時にプレイタイムを短くする極端なまでの効率化が図られているからです。そして少なくともこの作品は軽いゲームではありません。重量級ゲームです。

テストプレイの時点でルールブックは完成させておく

メモ帳へのベタ打ちで良いので、ルールブックはテストプレイの時点で完成させておくべきでしょう。実際の文章を見ながらインストし、プレイする。これは非常に大切なことです。私の場合は和訳ゲームとなりますが、カードやデッキ、コンポーネントの呼称、ルールライティングの不適当さ、章校正、訳抜けといった事柄がテストプレイで判明することが多いです。

手本となるルールブックを見つける

自分の中でコレだ、と思うお手本を見つけておきましょう。わかりやすいルールブック、わかりづらいルールブック、どうしたらそうなるか、読みづらい文章を見つけたらどう直せば良いのかを常に考えていきましょう。

作るゲームの規模も合わせるとなお良いです。軽いカードゲームのルールを書くのに、オーディンの祝祭のルールブックを持ち出しても仕方がありません。

実際の処理と文章の校正を合わせる。

つまりこうです。

「ヒールカードで、あなたのヒーローのHPを1回復させることができます。そうするためには、手札からヒールカード1枚をプレイし、その効果を適応し、捨て札山に捨てます」

これは短い文章ですが、もっと長い文章でも、このことに注意しつつ記述すると良いでしょう。

定義する名称に注意する

ルールブック内で定義する名称には注意しましょう。例えば、ゲーム内でもルールブック内でもそこまで重要ではないコンポーネントに名称をつける必要はありません。例えば、ゲーム内で一個しか含まれていないダイスを「モンスターダイス」などと呼称するかどうかは一度考えてみる必要があるでしょう。

「パルスのファルシのルシがパージでコクーン」みたいな文章が本当に組み上がってしまうゲームがあります。そのゲームの歴史が深く、独特の処理が多分にある場合は良いですが(MTGとか)、そのゲーム単体、数十分から数時間におけるゲームでこういった限定的な名称が設定されすぎるのは良いとは言えません。

同様に、一度定義した名称を省略するのにも注意が必要です。

例えば「ヒーローカード」と一度定義したあとで、文中に「ヒーロー1枚をプレイする」と「カード」を省略するのはあまり良くありません。読み手はこれを見て「ヒーローってなんだろう」「プレイするものだな」「プレイできるものはカードだからカードの種類の1つか」といった思考を段階を踏んで行います。それが一瞬の処理だとしても、積もり積もれば非常に大きな負荷がかかります。

省略する場合は、「ヒーローカード1枚をプレイします。『これ』には特殊能力を持っているものがあります」といったように、1つの文章の中で省略したり、指示語にするようにしましょう。

カードの効果テキストに対象者(とタイミング)を記述しろ

「あなたがこのカードをプレイした場合」「対戦相手1人を選び」「このカードをプレイしたプレイヤーは」「あなたはHPを1回復する」

といったように、カードの効果テキストには具体的な対象者を明確に指定しましょう。指定しろ。

例えば、ルールブックで「原則、カードをプレイしたプレイヤーに効果が適応されます」とあっても、ゲーム中に色々な効果を適応していると、たまに混乱することがあります。スキルや能力効果はできるだけ対象者を指定すると良いでしょう。また、装備品といったように直感で装備者に何かを付与するものについては「防御+1」のみだけで大丈夫です。

また、同じ理由でタイミングも記述するべきゲームがあります。これはゲームによりますので、テストプレイを繰り返し、プレイヤーから疑問がなくなるまで校正していく必要があるでしょう。


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