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死んだ人は誰で、殺したのは誰だ!? もやもやの残る推理ゲーム「藪の中」レビューと感想

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藪の中
おすすめ度:★★★☆☆
ルール難易度:★☆☆☆☆
運要素:★★★☆☆
思考要素:★★★☆☆
プレイ時間:20
年齢:9歳~
プレイ人数:3~4人

推理ゲーム「藪の中」は、それぞれが持っている情報から真相を推理して誰が容疑者なのかを当てるゲームとなっています。

使うのは人に見立てたタイル。オインクゲームズらしい質の高いタイルでできています。まずこれらをそれぞれのプレイヤーの手元に取ります。これの数字を見て右隣の人へ。タイルには数字が2~8書かれていて、これを覚えて起きます。最初に配られた物と、隣の人から回ってきた物、二つを見たところでゲーム開始。

場札として置かれた三つのタイルと、横向きに回された一つ。これが事件現場。横向きは死体で、残りの三つが容疑者となります。基本的にはその三つの中で一番数字の高いものが犯人。この時スタートプレイヤーはこの三人の中から二人を見て、見ていない物を含めた三つのうち一つと死体を入れ替えるかどうかを選択できます。

そうやって整えられた場の状況から犯人を推測してチップを置きます。次手番の人は、前の人がチップを置いた以外の二つの容疑者を見て推測してチップを置く。

これを繰り返して全員がチップを置いたら終了。答え合わせをします。

当たっていたらチップは手元へ、しかし間違っていたら「最後にそこにチップを置いた人」が裏返しにして受け取ります。最終的に、全てのチップを消費してなくなってしまうと負けとなります。

ちょっとルールの理解に手間取りはしますがシンプルだし、難しくもないです。限られた情報の中から予想し犯人を当てるというゲームプレイ自体はとてもワクワクしますし、楽しいですね。

他の人がどういった情報を見てるのか。そして何故そこにチップを置いているのか。「前の人がチップを置いた所」は見えないというのが中々に良くできているなあと思います。

ただ、このゲーム凄くもやもやするのが「どう遊んで良いのかちょっとよくわからない」という部分。確かにゲームプレイ部分は楽しいし、推理はほどよい難易度でちょっとした予想外の展開もあって盛り上がるのです。盛り上がるのだけれど、最終的にどういう状況を目指して遊べば良いのかわかりません。

勝利条件は一応あります。「誰かがチップを出せなくなった時点でゲーム終了」「一番表向きのチップを持っていれば勝ち」、けれどもそれもルールには「どうしても勝者を決めたいとき」は使えというもので明確なものではなく、そもそもその勝利条件を達成しようにもブラフを仕掛けても間違えたら結局チップは手元から減るわけで真面目に推理するしかありません。

全員が真面目に推理すれば全員正解するし、ブラフを仕掛けても結局不正解だとチップはなくなるし・・・。ゲーム自体は楽しいし、オリジナルなゲームに仕上がっていると思うのだけれど・・・。なんだか協力ゲームを使って対戦している感覚になってきます。

おそらく、フレーバーとして採用している「藪の中」に強い影響があるのではないかなと考えたりします。

題材にしたテーマを強く想像させるゲームというのはそれだけで良いと思いますが、それでもやっぱりゲームとして遊ぶ以上は終了へときちんと収束していくものがいいなと感じます。最初から回すラウンドを決め、私語基本禁止などのルールを決めて回すと中々に読み合いが熱くなるのではないかなと感じたりします。

いろいろ書きましたが、印象に残るゲームだと思います。

推理ゲーム、ミニマルさ、デザイン、ブラフ要素に興味がある人は楽しめるかなと思います。このモヤモヤ感、他の人にも味わって欲しくなること請け合い。問いかけてくるボードゲームという事でしょうか。こういうゲームもあるんだなあと考えさせられる作品でした。もやもや。

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