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ルールブック自己チェック校正例、題材:サイズ新拡張「フェンリス襲来」

   

NEWS : ゲームマーケット支援ツール「ゲームマーケットチェックするやーつ」を作りました。

ボードゲームのルールブックを作る、または和訳するにあたり、一度制作した後、見直したり文章構成を調整したりといったことをすると思います。

今回、サイズ新拡張が出るにあたり、英語と日本語ルールブックが公式サイトにて公開されました。題材として適当だと思いますので、今回はこれを取り上げ、私が校正する場合、どの文章をどのように直すのか、記述していきたいと思います。

また、今の時点(18/06/15)では私も校正や文章構築といった面では手探りでありますので、これが正解ではないことを予めご了承ください。あくまで自分ならどうするのか、どいう思考実験と技術向上の作業を記事として公開するのが本記事の目的であります。

本ルールブックを制作したアークライトさんは出版チームをかかえ、DTPとしてノウハウや確かな技術を持っているかと思いまし、ボードゲームに対しても長い実績があります。その技術を読み取る意味でも、こういった作業は大切かなと私は思います。また、断言や極論がありますが、あくまで個人の思考をそのまま記述しています。ご了承ください。

各種PDFは販売元のストーンマイヤー様にあります。

Scythe: The Rise of Fenris – Stonemaier Games

Public Files | Powered by Box

キャンペーンの勝利者は、最後のエピソードの勝利者です。それをも
たらすのは、そこまでに発生したイベントや自国の強化の集大成です。
他にもプレイヤーの最終的な得点に対するボーナスがありますが、それ
らはエピソード1 の後で明かされます。
p3キャンペーンの勝利

そこ、それ、そのといった指示語が多い。こういった指示語は、それぞれが特定の単語や物事を指し示しますが、多すぎると文章全体の意味がぼやけ、読み手を混乱させます。こういった指示語の使用は省略したり、該当単語を明確に記述したほうが良いでしょう。また、「それをもたらすのは、そこまでに発生したイベントや自国の強化の集大成です」が、非常に抽象的すぎるように感じますし、前の文章とのつながりが分かりずらいと思いました。例示をあげると、

キャンペーン全体の勝利者は、最後のエピソードゲームの勝利者がなります。そうなるために、あなたはキャンペーンを通して発生するイベントや自国の強化を効率よく行っていく必要があります。また、最終的な得点にはボーナスがありますが、これはキャンペーンのエピソード1後に明らかにされます。

といったような文章にすると私はわかりやすいかなと感じました。それぞれのゲーム用語がまだ出ていませんので、「エピソード」が何を指しているのか分かりづらいと思いました。ここでは「キャンペーンのエピソード1」としたり、それぞれの指示語を整理してみました。

このルール説明書には、オートマを使用して『サイズ - 大鎌
戦役- 拡張 フェンリス襲来』を1人で楽しむためのルールも用意
されています。ただし、オートマによる基本セットのソロプレイ
に習熟するまでは、オートマを用いた『サイズ - 大鎌戦役- 拡
張 フェンリス襲来』のソロプレイは避けたほうがいいでしょう。
p3:オートマに関して

「オートマによる基本セットのソロプレイに習熟するまでは、」の部分に関して、座りが悪く感じます。文章の最初に「オートマ」が来ているので、それが基本セットを指すのか、拡張を指すのか判断がつきにくくなっていて、文章を読み進めてわかってくる、というような校正になってしまっています。文章のコアは基本セット、拡張セットですので、それらを最初に持ってくるのが良いでしょう。「大鎌戦役:基本セットのオートマソロプレイに十分慣れるまで、『サイズ – 大鎌戦役- 拡張 フェンリス襲来』のオートマソロプレイは避けたほうが良いでしょう」とするのが読みやすいです。

プレイヤーマット:各プレイヤーは、エピソードごとに(通常のゲームと同
じように)ランダムに使用するプレイヤーマットを選択します。
p3キャンペーンの詳細

「ランダムに使用するプレイヤーマットを選択します」の「ランダムに」がどこにかかっているのか分かりづらいです。この文章は、「ランダムに(指示)」「使用するプレイヤーマットを(対象)」「選択する(指示)」と3つの文節に分けることができます。「ランダムに、使用するプレイヤーマットを選択する」と読点を使い区切ることもできますが、整理して「使用するプレイヤーマットをランダムに選択する」とするとスッキリするでしょう。

4. 開始時ボーナス:いくつかのエピソードでは、報酬として「開始時ボー
ナス」を得ることができます。開始時ボーナスはキャンペーンログに
記録するもので、プレイヤーは受け取った開始時ボーナスの数値と同
じ数のX マークを、自分のキャンペーンログの開始時ボーナスのいず
れかの欄(開始時のコイン、開始時の戦力、開始時の支持)に記入し
てください。
p4キャンペーンログ

「開始時ボーナスはキャンペーンログに~」からの文章が読点を使い長すぎ、全体がぼやけてしまっています。1つの文章の中に読点は2つ程度までが適当でしょう。この文章は、キャンペーンログがどういうものなのか、とキャンペーンログへの記入方法が1つの文章で説明されてしまっています。これらを分けるようにすると良いでしょう。1つの文章には、1つの意味だけを持たせる、というのは非常に大切なことです。混乱を避けるためにも、ボードゲームのルールは極力そうしたほうが良いでしょう。

開始時ボーナスはキャンペーンログに記入されるものです。プレイヤーは受け取った開始時ボーナスの数だけのXマークを、開始時ボーナスのいずれかの欄(開始時のコイン、開始時の戦力、開始時の支持)に記入します。

最初に記入するもの、とありますので、後ろにある「自分のキャンペーンログの」という指示語は要らないでしょう。

5. パークの購入:プレイヤーは、エピソードの準備中に1つだけ、資産を
消費して「パーク」(特典)を購入することができます(自分のキャンペー
ンログの資産の数字を減少させてください)。

(自分のキャンペーンログの~)の位置が最後にありますが、これは「資産を消費して」にかかっています。この2つの位置が遠いため、()による文章の意味が分かりづらくなっています。これを避けるには、例えば、「(自身のキャンペーンログの資産を減少させることにより)資産を消費して」としたり、「資産を消費して(自身のキャンペーンログの資産を減少させる)」といったように、()はそのゲーム内処理への補足説明であるため近い位置へ配置すると良いでしょう。本文は英語の原文と同じ位置で文章を配置していますが、個人的にはこのように配置を変えたほうがわかりやすいかなと感じます。

以降、ルールブック内容についてはストーリーブック、ゲームを楽しむためにコアに触れるため、ここでは紹介しません。


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